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Dynabookって今どこのメーカー?東芝からシャープと同じ鴻海傘下になった現実

「Dynabookってまだあったんですね」

「東芝のパソコンって今どこが作ってるんですか?」

売り場でたまに聞かれる質問です。「たまに」というのが、正直なところを表しています。

Dynabookは今も存在します。でも、かつての輝きと比べると、どこか迷子になってしまったブランドという印象が拭えない。

世界初のノートパソコンを生み出したブランドが、2026年現在どういう状況にあるのか。正直に話します。

Dynabookの栄光——世界初のノートPCを生み出したブランド

まず、Dynabookの歴史は本当にすごい。ここだけは声を大にして言いたい。

1989年、東芝は世界初の商業的に成功したノートパソコン「Dynabook J-3100SS」を発売しました。

「ノートパソコン」という概念を世界に広めたのは東芝だったんです。

Dynabookが作った歴史
  • 1989年:世界初の商業的ノートPC「Dynabook J-3100SS」発売
  • 1990年代:薄型・軽量化を追求し「モバイルPC」という文化を日本に根付かせる
  • 2000年代:エンタメ特化の「Qosmio(コスミオ)」シリーズが登場、テレビチューナー内蔵PCが人気に
  • 2010年代前半:国内法人向け市場でも高いシェアを誇り、信頼性の高いビジネスPCとして評価される

Qosmioシリーズは今でも覚えている方が多いと思います。テレビが見られて、大画面で、エンタメを全部これ一台で——という発想は当時かなり先進的でした。

「東芝のDynabook」という言葉には、かつて本物のブランド力がありました。「丈夫で長持ち」「ビジネスで使える信頼性」というイメージは、現場でも実感できるものでした。

東芝からシャープと同じ鴻海傘下へ——Dynabookの現在地

NECが Lenovoに、富士通がLenovoに——同じように、Dynabookにも転換点が訪れました。

2018年、東芝はPC事業を分社化し「Dynabook株式会社」を設立。その後、台湾の鴻海精密工業(Foxconn)グループのシャープが株式の80.1%を取得し、Dynabookは事実上シャープ・鴻海傘下に入りました。

鴻海(Foxconn)とは
鴻海精密工業は台湾に本社を置く世界最大の電子機器受託製造企業(EMS)。AppleのiPhoneやiPadの製造を手がけることで有名です。

シャープは2016年に鴻海傘下に入っており、DynabookはそのシャープがさらにグループとしてM&Aした形です。

つまりDynabookは現在、「東芝→シャープ→鴻海」というグループ構造の中にいます。

NEC・富士通のLenovo傘下と構図は似ていますが、違う点が一つあります。

LenovoはPC専業メーカーとしてのノウハウを持ってNEC・富士通を吸収しました。一方、鴻海はあくまで「製造の会社」であり、PC事業の戦略的な強化という面では方向性が見えにくい部分があります。

Dynabookで長年働いてきたエンジニアや開発者は今も在籍しています。彼らが持つ「モバイルPCへのこだわり」「ビジネス向けの堅牢性」というDNAは、今の製品にも一部引き継がれています。それだけに、ポテンシャルを活かしきれていない現状がもどかしい。

2026年のDynabook製品を見て感じた正直な感想

ここは正直に言わせてください。

2025〜2026年のDynabookのラインナップを見ると、AIパソコンの新時代において明らかに出遅れています。

現行Dynabookラインナップへの率直な評価
  • Copilot+ PC対応モデルが限定的:SnapdragonやAMD Ryzenを積極採用している他社と比べ、AI対応モデルの展開が遅れている
  • Intelの旧世代プロセッサー中心:Intel 13世代プロセッサー中心のラインナップは、競合他社がCore Ultra(Intel 14〜15世代)やRyzen 7000番台に移行している中では見劣りする
  • AMD Ryzenの採用が少なすぎる:コスパと性能のバランスでRyzenは今や定番。他社は積極採用しているのに、Dynabookのラインナップでの存在感が薄い
  • 製品ラインナップの整理ができていない:法人向け・個人向けの棲み分けが分かりにくく、「誰に向けた製品か」が見えにくい

正直に言うと、最新のCPUロードマップへの追従スピードを見ていると、PC設計に本腰を入れているのかどうか疑問を感じることがあります。他社が次々と新世代プロセッサー搭載モデルを投入している中で、Dynabookの動きは遅い。

これが経営判断なのか、開発リソースの問題なのか、部品調達の問題なのかは外からは分かりません。でも売り場の肌感覚として、「今Dynabookを積極的に勧める理由」を見つけるのが難しくなっているのは事実です。

Dynabookにしかない強みは残っているのか

批判ばかりでは不公平なので、Dynabookが今でも持っている強みも正直にお伝えします。

2026年現在のDynabookの強み
  • ほぼ全機種ノングレア(非光沢)液晶を採用:これは日本のコンシューマー向けPCメーカーの中では非常に珍しい。光沢液晶は映り込みが激しく、屋外や蛍光灯下での長時間作業に向かない。ノングレア液晶は目が疲れにくく、仕事用途に向いている
  • 法人向けの堅牢性・セキュリティ:東芝時代から続く法人向けのノウハウは健在。耐久テストや日本語サポートの品質は一定水準を保っている
  • 軽量モバイルモデルへのこだわり:薄型・軽量というDNAは今の製品にも生きており、持ち運びを重視するビジネスユーザーには今でも選択肢になる

特にノングレア液晶の全機種採用は、地味だけど本当に評価したいポイントです。他の日本メーカーは光沢液晶を採用していることが多く、「見た目が綺麗だけど目が疲れる」という問題が起きやすい。Dynabookはここをずっと守り続けています。

長時間パソコンで仕事をする方にとって、液晶の質は体感の快適さに直結します。このこだわりは「分かってる人が設計している」と感じさせてくれる部分です。

誰が買っているのか——Dynabookのユーザー像

20年売り場に立っていて、正直「Dynabookのメインターゲットがどこなのか」が見えにくくなってきています。

店頭でDynabookを手に取るお客様のパターンを整理するとこうなります。

店頭でDynabookを選ぶお客様のパターン
①昔からの東芝・Dynabookファン
「ずっと東芝を使ってきたから」という根強いリピーター。ブランドへの信頼感で選んでいる。

②法人・官公庁からの指定購入
取引先や会社の規定でDynabookが指定されているケース。個人の意思とは関係ない購入。

③ノングレア液晶を求めている人
「目が疲れにくいパソコンを探している」という方が行き着くケース。知る人ぞ知る評価ポイント。

④価格で選んだ人
セールや特価品として並んでいたDynabookをたまたま購入するケース。

若い世代でDynabookを積極的に選ぶ人はほぼいません。認知度の問題もあるし、SNSやYouTubeでのレビューも他社と比べて圧倒的に少ない。「存在は知っているけど、なぜ選ぶのかが分からない」という印象です。

店頭でほとんど売れないのに撤退しないのは、法人向けの契約が一定量あるからだと思っています。コンシューマー向けは正直かなり厳しい状況でも、法人向けの継続取引がブランドを支えている——これはNEC・富士通と同じ構図です。

パラちゃんともったいないマーケティング

Dynabookには「パラちゃん」というキャラクターがいます。

知ってますか?知らない方が多いと思います。それが問題なんです。

パラちゃんはDynabookのマスコットキャラクターとして存在していますが、積極的にマーケティングに使われているかというと……正直ほとんど見かけません。

これ、日本のパソコンメーカー全体に言えることなんですが、キャラクターを作るけど、全然マーケティングに活用しないんです。

比較してみましょう。

キャラクターマーケティングの成功例と日本PCメーカーの差
成功例:Intelの「インテル入ってる」:シンプルなロゴと音楽だけで、消費者にCPUブランドを刷り込んだ歴史的なマーケティング。「中身」を売るという発想の転換が見事。

成功例:Appleの「Get a Mac」キャンペーン:MacとWindowsをキャラクターに見立てて対話させる広告で、MacBookのブランドイメージを一気に引き上げた。

Dynabookのパラちゃん:存在はする。でも広告でほぼ見かけない。SNSでの展開も限定的。せっかく作ったキャラクターが活用されていない。

パラちゃんをもっと前面に押し出して、若い世代にDynabookを認知してもらう努力をすれば、まだ可能性はあると思うんですが。

日本のパソコンメーカーはどこも「いいものを作れば売れる」という発想から抜け出せていない気がします。作ること・伝えること、この両輪が必要なのに、伝える部分への投資が圧倒的に少ない。

Dynabookはこれからどこへ向かうのか

厳しいことをたくさん書きましたが、Dynabookに消えてほしいとは思っていません。

世界初のノートPCを生み出したブランドが、このまま静かに縮小していくのはもったいなさすぎる。

Dynabookが生き残るための道は、おそらくこのどちらかだと思っています。

Dynabookが取りうる方向性

【方向性①:法人特化で尖る】
コンシューマー向けを思い切って縮小し、法人・官公庁向けに完全特化する。セキュリティ・堅牢性・日本語サポートという強みをさらに磨き、「ビジネスのDynabook」というポジションを確立する。

【方向性②:ノングレア+軽量で差別化する】
全機種ノングレア液晶という強みを前面に打ち出し、「目に優しいパソコン」というニッチだが確実なポジションを取る。在宅ワーカーや長時間PC作業をする人向けに、明確なメッセージを発信する。

どちらにせよ、「なんとなく全方位」という今のポジションのままでは厳しいと思います。強みを絞って、誰に向けたブランドなのかを明確にする。それができれば、Dynabookはまだ輝ける可能性を持っています。

世界初のノートPCを作ったDNAは、今の開発者たちにも確かに流れているはずです。

鴻海・シャープの傘下という新しい体制の中で、そのDNAがどう活かされるか——2026年以降のDynabookを、複雑な気持ちを抱きながらも見守り続けたいと思います。

まとめ

世界初のノートパソコンを生み出し、コスミオで時代を作り、薄型・軽量というモバイルPCの文化を根付かせたDynabook。

その歴史は本物で、今も現場で働く人たちのこだわりは製品の随所に感じられます。

でも2026年現在、「今DynabookをあなたにはおすすめできますDy!」とパラちゃんに言わせられるかというと——正直、躊躇します。

AIパソコン時代への対応の遅れ、プロセッサーラインナップの古さ、マーケティングの弱さ。解決すべき課題は山積みです。

ただ一点、ノングレア液晶へのこだわりだけは本当に評価しています。目が疲れにくいパソコンを探している方には、今でもDynabookは選択肢になります。

栄光の歴史を持つブランドが、次の時代にどう変わっていくのか。日本のパソコン産業の縮図として、引き続き注目していきたいと思います。

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