「このCopilotって何ですか?消しても大丈夫ですか?」
2024年後半から、売り場で一番多くなった質問がこれだ。
新しいパソコンを買った人が、タスクバーに見慣れないアイコンを見つけて不安そうに聞いてくる。「なんか勝手に入ってるんですけど、ウイルスじゃないですよね?」という人まで出てきた。
ウイルスではない。でも「じゃあ何なの?」という疑問に、売り場で毎日向き合っている。
この記事では、Copilotが「何者なのか」「実際に何ができるのか」「使える場面と正直微妙な場面」を、20年の販売員経験とAIを実際に使ってきたリアルな目線でお伝えする。
難しい話は一切しない。パソコンに詳しくない人でも最後まで読めるように書いた。
Copilotとは何か——Windowsに突然現れたAIの正体
一言で言うと、CopilotはMicrosoftが開発したAIアシスタントで、Windows11に無料で標準搭載されている。
「AIアシスタント」という言葉が難しければ、「話しかけると何でも答えてくれる賢い検索エンジン」と思ってもらえればいい。ただし普通の検索エンジンと違い、答えを「文章で」返してくれるのが特徴だ。
Copilotが一般ユーザーのパソコンに届き始めたのは2023年末〜2024年にかけて。Windowsのアップデートを通じて自動的にインストールされたため、「気づいたらあった」という人が多い。
開発元:Microsoft(OpenAIのGPT技術を活用)
料金:基本無料。一部機能はMicrosoft 365サブスク加入者向け
使える場所:Windows11タスクバー・Edge ブラウザ・Microsoft 365アプリ内
インターネット接続:必要(オフラインでは動作しない)
ベース技術:OpenAIのGPT-4をベースにMicrosoftが独自チューニング
「OpenAIのGPT技術」という部分が重要だ。ChatGPTと同じ会社の技術を使っているということは、Copilotは実質的にChatGPTに近い性能を持つAIがWindowsに内蔵されているということになる。
無料でここまでのものが使えるようになったのか、と売り場で実際に触れた時に素直に驚いた。ただし「何でも完璧にできる魔法のツール」ではない。その正直な話は後半でする。
Copilotはどこにあるの?
Windows11のパソコンを使っている人は、画面下のタスクバーを見てほしい。
青・白・緑のぐるぐるしたアイコン(Copilotのロゴ)があればそれだ。クリックすれば右側からパネルが開いて、すぐに話しかけられる。
もし見当たらない場合は、スタートメニューで「Copilot」と検索するか、Edgeブラウザのサイドパネルからもアクセスできる。
「削除したい」という相談も多いが、Windows標準機能のため完全な削除は難しい。
ただしタスクバーのアイコンは右クリックから非表示にできる。使わないなら邪魔にならないようにしておくだけで十分だ。
ウイルスでも悪影響を与えるものでもないので、放置していても問題はない。
実際に何ができるか——3つのユースケース
「AIって何に使うの?」という疑問に、具体的なユースケースで答えていく。
① 文章を書いてもらう・直してもらう
これがCopilotで最も実用的な使い方だ。
たとえばこんな使い方ができる。
メールの下書きを作る:
「取引先に納期延長をお願いするメールを書いて。丁寧なビジネスメールで300文字程度」
→ すぐに使えるメールの下書きを出力してくれる
文章を直してもらう:
自分が書いた文章を貼り付けて「誤字脱字を確認して、もう少し丁寧な表現に直して」
→ 修正案を提示してくれる
要約してもらう:
長い文章やニュース記事を貼り付けて「3行で要約して」
→ これが特に便利で、長い文書を読む時間を大幅に短縮できる
メール作成は特に評判がいい。「書き方が分からない」「失礼な表現になってないか不安」という人にとって、下書きを出してくれるだけでも十分な価値がある。
② 調べ物・質問に答えてもらう
従来の検索エンジンとの最大の違いがここだ。
Googleで検索すると、たくさんのリンクが並ぶ。そこから自分で探して読まなければならない。Copilotに聞くと、「答え」が直接文章で返ってくる。
【従来の検索:Googleで「確定申告 いつまで」と検索】
→ 複数のサイトへのリンクが並ぶ。自分でクリックして読む必要がある
【Copilotで「確定申告の期限はいつですか?」と聞く】
→ 「令和6年分(2024年)の確定申告は、2025年2月17日から3月17日が期間です」と直接答えてくれる。情報源のリンクも添付してくれる
ただしここで一つ重要な注意点がある。
AIの回答は「間違えることがある」。特に最新情報・数字・固有名詞は必ず元のサイトで確認する習慣をつけてほしい。
これはCopilotだけでなく、ChatGPTもGeminiも同じだ。AIは自信満々に間違えることがある。これを「ハルシネーション(幻覚)」と呼ぶ。
③ 画像を生成してもらう
Copilotには画像生成機能も内蔵されている。
「青空の下でコーヒーを飲む猫のイラスト」と入力するだけで、AIがその通りの画像を生成してくれる。
使用しているのはMicrosoftとOpenAIが共同開発した「DALL-E 3」という画像生成AI。同等機能が他のサービスでは有料になることも多いが、Copilotなら無料(一定枚数まで)で使える。
SNSのアイキャッチ画像を作る
プレゼン資料のイラストを作る
ブログ記事用の挿絵を作る
ちょっとしたアイコンやロゴのアイデア出し
ただし商用利用については利用規約を必ず確認すること。個人の趣味範囲なら問題ないが、仕事で使う場合は確認が必要だ。
売り場で実際に使っているデモ4選——「百聞は一見に如かず」
ここだけの話をする。
売り場でCopilotを紹介する時、説明だけしても「ふーん」で終わることが多い。でも実際に目の前でデモをやると、反応が全然違う。
「え、こんなことができるんですか!?」という顔を引き出せるデモを3つ紹介する。自分でも試せるものばかりなので、ぜひやってみてほしい。
デモ① 音声会話モードで「AIと会話する」体験
Copilotには文字を打つだけでなく、マイクで話しかけて音声で会話できるモードがある。
やり方はシンプルだ。Copilotを起動して、マイクアイコンをクリックするだけ。あとは話しかけるだけでAIが音声で返してくれる。
「今日の天気はどうですか?」と話しかける
→ Copilotが音声で「今日の仙台は晴れで、最高気温は〇度の予報です」と返してくれる
「最近話題のAIって何が便利なんですか?」と話しかける
→ 会話形式でAIが説明してくれる。まるで人と話しているような体験
お客様がマイクに向かって話しかけた瞬間、AIがすらすら返してくる——このデモで「すごい!」という反応をもらえない人はほぼいない。
スマートスピーカー(Amazon EchoやGoogle Home)を使ったことがある人には「あれのパソコン版でもっと賢いやつ」と説明すると伝わりやすい。初めてAIに触れる年配の方に特に反応がいいデモだ。
デモ② WordをCopilotと一緒に開いてリアルタイムでアドバイスをもらう
これは売り場でも特に実用的だと感じているデモだ。
Copilotには「画面を共有して一緒に見る」機能がある。WordやExcelを開いた状態でCopilotに画面を共有すると、今見ている画面の内容をCopilotが認識した上でアドバイスをくれる。
Step 1:Wordを開いて、適当な文章を入力する(または既存のファイルを開く)
Step 2:Copilotのパネルを開き、「画面を共有する」ボタンをクリック
Step 3:「この文章をもっと丁寧な表現に直してほしい」「誤字脱字がないか確認して」と話しかける
Step 4:CopilotがWordの内容を見た上で、具体的な修正案を出してくれる
この機能の何がすごいかというと、「どんな文章を書いているか」をCopilotが直接確認してアドバイスをくれる点だ。「この文章をコピーしてCopilotに貼り付けて…」という手間なく、画面を見せるだけでいい。
売り場では「Wordでレポートや報告書を書く機会が多い」という方に特に刺さるデモだ。「Wordがもっと使いやすくなる」という体験を目の前で見せると、購入後の活用イメージが一気に膨らむ。
デモ③ スクリーンショットや画像の英文をその場で翻訳させる
これは「こんなこともできるの?」という反応が一番多いデモだ。
Copilotは画像を読み込んで内容を理解する機能(画像認識)を持っている。英語で書かれたスクリーンショットや写真をCopilotに渡すだけで、その場で翻訳してくれる。
英語のウェブサイトをスクリーンショットで撮る
(Windowsキー+Shift+Sでスクリーンショット撮影)
Copilotのチャット欄に画像を貼り付ける
(クリップのアイコンから画像添付、またはCtrl+Vで貼り付け)
「この画像の英文を日本語に翻訳して」と入力する
→ 画像の中のテキストを読み取って、日本語訳を出してくれる
活用シーンは幅広い。海外サイトの英文説明、輸入品の取扱説明書の写真、英語のソフトウェアのエラーメッセージ——これまで「英語だから読めない」と諦めていたものが、スクリーンショット一枚でその場で解決できる。
英語が読めなくても、海外の情報を活用できる。これはAIが日常生活を変える一番分かりやすい例の一つだと思っている。
デモ④ Windowsキー+クリックで文字を瞬時にコピーするOCR機能【Copilot+ PC限定】
ここからはCopilot+ PCを持っている人だけが使える、最新CPUを搭載した機種にしか使えない特別な機能の話だ。
その機能とは、「画面上のどこに表示されているテキストでも、Windowsキーを押しながらクリックするだけでコピーできる」というものだ。
これだけ聞くとピンとこないかもしれないが、実際にやってみると驚く。
通常はコピーできないものが全部コピーできる
・ YouTube動画の字幕テキスト → そのままコピーできる
・ 画像の中に書いてある文字 → そのままコピーできる
・ PDFの保護がかかった部分のテキスト → そのままコピーできる
・ エラーメッセージの文字 → そのままコピーしてそのまま検索できる
・ Webサイトでコピー禁止になっているテキスト → そのままコピーできる
「画面に表示されているものは何でもテキストとして取得できる」——これがこの機能の本質だ。
使い方はシンプルで、Windowsキーを押しながら取得したい文字をクリックするだけ。特別なアプリも操作も必要ない。
売り場でこのデモをやる時は、まず画像の中に書いてある英文テキストを見せて「この文字、コピーできますか?」と聞く。大抵の人は「画像の中の文字はコピーできない」と思っているので「できません」と答える。
そこでWindowsキーを押しながらクリックすると、あっさりテキストがコピーされる。
このデモで驚かない人を見たことがない。「え、そんなことできるの!?」という反応が毎回もらえる、売り場で一番インパクトのあるデモだ。
このOCR機能(テキスト抽出)はCopilot+ PCにしか搭載されていない。
対応しているCPUは以下の通り。
・Snapdragon X / X Plus(Qualcomm製・ARMアーキテクチャ)
・Intel Core Ultra(第2世代以降の一部モデル)
・AMD Ryzen AI 300シリーズ
パソコンのスペック表に「NPU 40TOPS以上」または「Copilot+ PC対応」と書いてあれば使える。購入前に必ず確認してほしい。
このデモをやるたびに思うのは、「最新のCPUを買う理由」が一番伝わりやすいのがこの機能だということだ。スペック表の数字では伝わらない「体感の違い」を、30秒で見せられる。
翻訳精度は文章の種類によって異なる。
一般的な英文ならほぼ問題ない精度で翻訳できるが、専門用語が多い技術文書や、画像内の文字が小さすぎる・斜めになっているケースでは精度が下がることがある。
重要な文書は翻訳結果を鵜呑みにせず、専門家への確認も検討してほしい。
販売員目線の正直評価——使える場面・正直微妙な場面
ここからが本番だ。広告や公式サイトには書いていない正直な話をする。
正直使える場面
- ビジネスメールの下書き:これは本当に便利。「丁寧に断るメール」「お礼のメール」など、ひな形を出してもらって自分で調整するだけで時間が大幅に節約できる
- 長い文書の要約:契約書・規約・ニュース記事など、読むのが面倒な長文をざっくり把握するのに使える
- アイデア出し:「〇〇のアイデアを10個出して」という使い方は意外と捗る。全部使えなくても、ヒントになるものが混じっている
- 英語の翻訳・確認:英語のメールを日本語にしてもらう、日本語を英語に直してもらうのは精度が高い
- Windowsの操作方法を聞く:「〇〇の設定を変えたい」とCopilotに聞くと、手順を教えてくれる。説明書代わりになる
正直微妙な場面
- 最新情報の取得:「今日のニュースは?」「現在の株価は?」など、リアルタイム情報はWeb検索の方が確実。Copilotもネット検索はするが、精度にばらつきがある
- 専門的な数値計算:複雑な計算や統計処理は、専用ツールを使う方が安心。AIの計算ミスは珍しくない
- 個人情報を含む相談:健康状態・財務状況・法的問題など、個人情報を含む相談はAIに頼り切らない方がいい。専門家に相談すべき内容は専門家へ
- 「これが絶対正しい」という確認作業:AIは自信満々に間違えることがある。重要な情報は必ず一次情報で確認する
要するに、Copilotは「優秀な下書き屋さん」と思っておくのがちょうどいい。完成品を作るのではなく、たたき台を素早く出してもらうツールとして使うと本領が発揮される。
ChatGPT・Gemini・Claudeとの違いをざっくり比較
「ChatGPTと何が違うの?」という質問も多い。正直に言うと、機能的には似ている部分が多い。ただし特徴の違いはある。
Copilot(Microsoft)
・Windows11に標準搭載・無料で使える
・Microsoft 365(Word・Excel・Outlook)と連携できる
・画像生成(DALL-E)が無料で使える
・パソコンを普通に使っている人にとって一番とっつきやすい入口
・ベース技術:OpenAI GPT-4
ChatGPT(OpenAI)
・AIブームを作った元祖。認知度・信頼度が高い
・無料版あり・有料版(ChatGPT Plus)でより高性能なGPT-4oが使える
・プラグインや拡張機能が豊富
・文章生成・コード生成・分析など汎用性が高い
・ベース技術:GPT-4o
Gemini(Google)
・Googleが開発。Google検索・Gmail・Googleドキュメントと連携
・Googleサービスをメインで使っている人と相性がいい
・最新情報へのアクセスはGoogle検索と連動するため強い
・ベース技術:Gemini
Claude(Anthropic)
・長文の読み込みと分析が得意。一度に処理できる文章量が多い
・「安全性」「倫理性」を重視した設計で、丁寧な回答が特徴
・ビジネス文書の作成・複雑な内容の整理・分析作業に強みがある
・ベース技術:Claude(Anthropic独自開発)
どれを使えばいいのかという話だが、最初はCopilotから入るのがおすすめだ。
理由はシンプルで、Windowsに入っているから。アカウント登録なしにすぐ使えて、Microsoftアカウント(Windowsのサインインで使っているもの)があればすぐに全機能を試せる。
AIを使ったことがない人は、まずCopilotで「AIってこういうものか」を体感してほしい。慣れてきたら他のサービスも試してみると、自分に合うものが見えてくる。
「Copilot+ PC」は普通のCopilotと何が違うのか
売り場でもう一つよく聞かれるのが「Copilot+ PCってシールが貼ってあるパソコンがあるんですけど、普通のCopilotと何が違うんですか?」という質問だ。
これは混乱しやすいが、「Copilot(AIサービス)」と「Copilot+ PC(ハードウェアの規格)」は別物だ。
Copilot(AIアシスタント)
・ソフトウェア・サービスのこと
・Windows11が入ったパソコンなら基本的に無料で使える
・インターネット接続が必要
Copilot+ PC(ハードウェア規格)
・Microsoftが定めたAI処理に特化したパソコンの規格
・条件:NPU(AI専用演算チップ)が40TOPS以上の処理性能を持つこと
・対応CPU:Snapdragon X / Intel Core Ultra(第2世代以降一部)/ AMD Ryzen AI 300シリーズなど
・特典:「Recall(過去の操作履歴をAIで検索)」など、AI特化機能が使える
つまり「Copilot+ PCシール」が貼ってあるパソコンは、AI処理をパソコン本体の中で高速に行える専用チップを搭載したモデルということだ。
普通のパソコンのCopilotはインターネット経由でAI処理をしているが、Copilot+ PCはパソコン本体の中でも一部のAI処理ができる。
「じゃあCopilot+ PCじゃないと意味ないの?」という話だが、普段使いのAI機能(文章生成・質問・画像生成など)は通常のCopilotで十分使える。Copilot+ PC限定機能が必要かどうかは、ユーザーの使い方次第だ。
まとめ——まず触ってみるべき理由と最初にやること3つ
ここまで読んで「なんか難しそう」と感じた人がいるかもしれない。でも実際に触ってみると、思ったより簡単だ。
「AIってなんか怖い」「自分には関係ない」と思っている人に伝えたいことがある。
電卓が普及した時、電卓を使わない人は計算が遅くなった。スマホが普及した時、スマホを使わない人は情報が遅くなった。今、AIを使わない人は何かが遅くなっていく。
怖くない。難しくない。ただ「試してみる」だけでいい。
- タスクバーのCopilotアイコンをクリックして開く
→ 右側にパネルが開く。まず「こんにちは」と話しかけてみよう - 「〇〇の書き方を教えて」と聞いてみる
→ 「上司への休暇申請メールの書き方を教えて」「謝罪メールの例文を出して」など、日常のちょっとした困りごとを投げてみる - 気になっていたことを何でも聞いてみる
→ 「スマホの電池を長持ちさせる方法は?」「最近話題のNISAって何?」など、Googleで検索するようなことを試しに聞いてみる。答え方の違いを体感してほしい
AIは難しい技術じゃない。会話するだけで使える道具だ。
売り場でCopilotを実際に触って「こんなことできるんですね!」と目を輝かせるお客様を何人も見てきた。最初の一歩を踏み出すだけで、世界が少し広がる感覚がある。
まずは5分だけ、Copilotに話しかけてみてほしい。
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